クラウドPBXは、社用のスマートフォンや携帯電話を内線化できるサービスです。テレワークの浸透によって、オフィスに従業員が全員集まる機会が少なくなった企業にとっては、クラウドPBXの導入メリットは非常に大きいでしょう。
ところで、クラウドPBXとよく似たサービスにFMCと呼ばれるものがあります。そのため、「どちらを導入するべきなの?」と迷われる方も多いかもしれません。
そこで今回は、FMCがどのようなサービスか紹介するとともに、PBXと何が違うのか解説します。
「FMC」とは「Fixed-Mobile Convergence」の略語で、簡単に説明すると「固定電話と携帯電話の融合」という意味になります。
会社で利用する固定電話や社用のスマートフォン、携帯電話は、それぞれ利用料金が発生するため、契約先や料金の支払い先も当然バラバラです。したがって、毎月の支払いにかかる工数はもちろん、トータルの利用料金が高くなる点も課題です。
しかし、FMCを導入することで、バラバラになっている固定電話やスマートフォンを1つに融合できます。
例えば、
といったことが、FMCの導入によって実現可能です。つまり、FMCは1台のスマートフォンや携帯電話で、オールマイティーな役割がこなせるようになるサービスといえるでしょう。
FMCにはメリットもありますが、当然デメリットもあります。導入前に確認しておきましょう。
FMCのメリットは、先ほど紹介した複数の回線やデバイスを融合できることによる業務効率化はもちろん、それに伴うコスト削減も大きなメリットです。
まず固定電話、スマートフォン・携帯電話、インターネット回線など、バラバラに契約していたサービスを1つにまとめられるため、利用料金を圧縮できます。次に、これまでバラバラに行っていた契約手続きや、利用料金の支払いなどにかかる工数の削減ができるため、人件費もカットできるでしょう。
つまり、FMCの導入によって、業務効率化だけでなく、これまで電話対応をしていたスタッフの人件費も減らせるのです。
FMCのデメリットとしてまず挙げられるのが、利用できる固定電話やスマートフォン、携帯電話の通信キャリアが1社に限定される点です。例えば、これまで携帯電話はSoftBank、固定電話はNTTなどとバラバラになっていた場合は、どちらか1社に限定しなくてはなりません。
特に事業所ごとにバラバラの通信キャリアと契約している企業は、手続きが非常に厄介でしょう。そのため、解約手続きが面倒という理由で、FMCの導入を断念した事例もあります。
次に、FMCでは携帯電話やスマートフォンから外線をかける場合には、携帯回線を利用する必要があり利用料金が割高な点がデメリットです。したがって、外線の利用が多い企業にとっては、大きなコスト削減につながらない可能性もあるでしょう。
また、FMCの仕組みをスタッフがきちんと把握できていない場合には、現場が混乱する可能性も否定できません。そのため、FMCを導入する際には、事前説明会を行うなど慎重な対応が必要になります。
FMCとよく似たサービスといわれるのが、クラウドPBXです。
まずPBXとは「Private Branch eXchanger」の略語で「構内交換機」と訳され、一般的には「電話交換機」と呼ばれるデバイスになります。PBXの導入メリットは、固定電話で内線・外線・転送機能が使えるようになる点です。
PBXを導入することで、オフィス内の電話を内線だけでなく、外線の発着信に対応可能です。したがって、企業の代表電話番号に着信があった場合は、PBX経由で各内線へ転送されることになります。ただし、導入時には工事が必要になるため、最近は工事不要なクラウドPBXのニーズが高くなっています。
クラウドPBXを導入するメリットは、スマートフォンやパソコンをビジネスフォンとして利用できるようになることです。また、クラウドPBXではクラウド上にPBX機能があり、すばやく導入できコストが安く済む点もメリットです。さらに、パソコン上で簡単に設定ができます。
なお、FMCとクラウドPBXの違いをまとめると、以下の通りです。
つまり、FMCの弱点を補ったサービスが、クラウドPBXといえるのです。
今回は、FMCのサービス概要と、PBXとの違いについて説明しました。 FMCも非常に便利なサービスではありますが、費用体効果から考えても現在はクラウドPBXに軍配が上がるでしょう。
固定電話や携帯電話、スマートフォンをバラバラに運用している企業は、すぐにクラウドPBXを導入するのが賢明です。生産性向上のためにも、ぜひ検討してみてください。
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