「PBX」とは、「Private Branch eXchanger」の略語で、「構内交換機」という意味です。つまり、企業の内線などで使われる、1つの電話機で受けた電話を複数の内線端末に転送できるようにする機器になります。一般企業では、すでに当たり前の機能といえるでしょう。
しかし、一口にPBXと言ってもその歴史は古く、古くはアナログPBXにはじまりデジタルPBXやIP PBXが登場しました。そして、現在主流になりつつあるのがクラウドPBXです。
今回は、クラウドPBXという技術が成り立つまでに、どのような通信関連技術の歴史があったか学ぶことにしましょう。
まずは、PBXの誕生から紐解いていきましょう。
今や当たり前のように使われている電話が、日本で使われるにようになったのは、実に1890年からでした。その後、一般企業にも電話が設置されるようになり、複数の電話機を設置する企業も現れます。
しかし、当時問題になっていたのが、社内の電話同士で通話しようとした場合でも電話局の交換機を通さなければならない点でした。つまり、内線通話にも関わらず、料金が発生していたわけです。
そして、この問題を解決するために生み出されたのが、構内交換機であるPBXでした。
PBXが登場したことで、企業内の2台の電話機同士で電話回線が結べるようになり、現在の内線機能が実現されたのです。つまり、すでにアナログPBXの段階で、電話回線の交換をおこなうシステム自体は完成していました。
ただし、PBXが登場した当時は、電話回線の交換を手動でおこなう必要があり「交換手」という職業が不可欠だったのです。しかし、その後1940年代頃には、「ステップ・バイ・ステップ交換機」と呼ばれる機器が開発されたことで、ようやく電話回線の交換作業が自動化されました。
なお、1955年に「クロスバー交換機」というリレー方式の機器が登場する時期あたりまでが、アナログPBXの時代といえるでしょう。
1980年代に突入すると、いよいよデジタルPBXが登場します。
デジタルPBXの登場により、電話回線の交換作業がアナログからデジタルに移行しました。しかし、デジタル化されたのは内線交換機能のみで、外部へ接続する作業に関してはアナログのままだったのです。
その後、1990年代でいよいよ外部接続もデジタル化されます。これにより、音声の品質が飛躍的に良くなりました。さらに、当時一般化しつつあったコンピューターとデジタルPBXが連携したCTI(Computer Telephony Integration)も登場し、現在のコールセンターのような仕組みができあがったのです。
CTIの導入により、当時アナログ電話で作業をしていたオペレーターは、現在のようなヘッドセットを装着してパソコンに向かうスタイルに変化しました。つまり、パソコンでお客様からの電話を受け、顧客情報をチェックしながら業務対応できるようになったわけです。
そして、2000年代に突入すると、IP電話とともにIP PBXが登場します。
ちなみに、「IP電話」とは、インターネット経由で接続する電話のことです。厳密には、インターネット・プロトコル(IP)を経由することから、“IP”電話と呼ばれています。
その後、IP電話はITテクノロジー発展の後押しもあり、一般企業などへ爆発的に普及していきました。なお、このIP電話の普及とともに登場したのが「IP PBX」です。
IP PBXは企業内に専用の機器を設置することで、インターネット経由でPBXが利用できるサービスになります。また、ソフトウェアのIP PBXも登場し、企業内のサーバーで利用できるようになりました。これにより、それまでのPBXに比べ導入・運用コストが劇的に下がった点が大きなメリットです。
現在、主流になりつつあるクラウドPBXが登場したのは、2010年代です。この頃から、様々なクラウドサービスが提供されるようになり、その流れに合わせてクラウドでPBXの機能を実現するクラウドPBXが誕生しました。
今でこそ市民権を得たクラウドですが、2010年代初頭はそれほど浸透していませんでした。そのため、クラウドPBXがリリースされた当初は「クラウド何それ?」「本当に使えるのか?」といった悪印象もあり、なかなか普及しなかった経緯があります。
しかし、その後多くのクラウドサービスがリリースされ利用者が増えたことにより、徐々にクラウドPBXが注目されるようになったのです。
クラウドPBXは、クラウドソリューションという強みを活かし、
といった様々なメリットがあります。そのため、現在では多くの企業でクラウドPBXの導入が進んでいる状況です。
クラウドPBXについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせて読んでみてください。
クラウドPBXとは?オンプレミス型との違い、役割、注意点など解説
今回は、PBXの歴史ということで「アナログPBX→デジタルPBX→IP PBX」の概要から、現在のクラウドPBXまでの流れを説明しました。
もともと手作業だった電話回線の交換作業がデジタル化され、現在ではPBX自体がクラウド上で再現されています。我々の仕事がオフィスからテレワークにシフトしたように、働き方も様々に変化し、それをサポートする新たなサービスが登場しました。
クラウドPBXを導入することで、テレワークでも内線・外線対応や、コールセンター業務なども可能になります。その意味では、PBXも時代の流れに合わせて柔軟に変化してきたことを改めて認識できたのではないでしょうか。
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