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クラウドPBXを導入するにあたって、失敗しないためにもメリット、デメリットはおさえておきたいところです。
それ以前に、クラウドそしてPBXとは何かを知る必要もあるでしょう。
クラウド(クラウド・コンピューティング)は、その在りかが物理的に明示されているわけではありません。インターネットこそ経由しているとはいえ、データファイルを格納するサーバーの設置場所を意識せずとも、サービスは提供されます。
この形態が(直訳で)雲と称されることは、実に言い得て妙です。
まさに雲のごとく、傍目から見えない隠れたなかにソフトウェアやプラットフォームが存在しています。
一方でPBXは、いわゆるビジネスフォンの機能を使うための根幹、主装置(構内電話交換機)のことです。
設置によって、内線、外線ともに電話回線を効率的に制御できます。
詳しくは後述しますが、その有用性の高さ、バラエティの豊かさで以て業務に欠かせないものと言っても過言ではないでしょう。
つまり、両者(クラウドとPBX)をつなげたクラウドPBXは、オフィス内にPBXの機器を置く(接続する)必要がない、パフォーマンスにも期待できるビジネスフォン(のクラウド型サービス)ということになります。
ただし、漠然と利点があることを認識するだけでは落とし穴に嵌ってしまう可能性も否めません。だからこそ、冒頭でお伝えした通り、メリット、デメリット両方を把握する必要があります。
特長だけでなく注意点や失敗事例などもきちんとおさえ、クラウドPBXを網羅的に理解するようにしましょう。
クラウドPBXの全体像を掴むためには、やはりPBXの必要性を知ることが不可欠です。
ビジネスフォンには1つの代表番号を複数の電話機で使用したり、キー操作で別の電話機にその場で転送を行ったり、定時後に時間外アナウンスへと切り替わるようにしたり……等々、業務の効率化を図るべく、さまざまな機能を付与できます。
PBXが必要な理由は、上述の発着信や保留転送などに対して内線化を可能にするからです。結果、コスト削減に寄与します。
【ポイント: 企業の電話業務に欠かせない機能の数々を、なるべく費用を掛けずに備えるためには、PBXの導入が効果的です。】
PBXにはオンプレミス型やクラウド型が存在します。また、IP電話回線用のIP-PBXは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアでも対応可能です。
クラウドPBXがいかに優れているかは、豊富なバリエーションと進化の変遷を抜きに語れません。
まずは、それぞれの型について知ることが大事です。
オンプレミス型のPBXは、オフィス内に設置するタイプです。
アナログ回線で接続されるレガシーPBXが該当します。
外部のシステムやネットワークに依存せず、自社システムとの連携など柔軟かつ多彩なアプローチが可能です。
他方、導入時には手間が掛かる傾向にあります。
配線コードや端末を用意し、加えて業者とのやり取りや手続きも必要です。
もちろんその分、費用も嵩みます。
仮に導入を検討する際は、この点を踏まえてしっかり吟味しましょう。
IP-PBXの接続は、電話回線ではなくデジタル(インターネット)回線を用います。
具体的には、内線電話網とLANの統合です。そのため、配線コストや設定工事費用を下げることができます。
設置箇所をネットワーク上の一つに絞れるため管理がしやすい点もメリットです。
ハードウェアタイプだけでなくソフトウェアも存在します。コストカットが見込めますが、情報漏洩といったリスク、セキュリティ面のケアはしっかり行わなければなりません。
クラウドPBXと呼ばれるクラウド型の電話サービスでは、PBXの機能をインターネットのクラウド上で管理している仕組みのため、当然、実装置をオフィスに持ち込む必要がありません。
外線接続、内線管理はすべてインターネット経由で行われます。各種設定やシステム内容の変更も同様です。工事無しで使える分、費用も手間も従来のPBXに比べて大幅に削減できます。
また近年では、懸念されるセキュリティ面への見直しが進み、技術的な向上も顕著です。
煩わしさを解消した利便性に加え、安心感や信頼度も高まっています。
前項でお伝えした内容も踏まえて、特徴を抜粋するならば、大まかに以下の要素でしょう。これらは、後述するメリット、デメリットにも当然つながります。
なお、クラウドPBXの基礎知識をより包括的に学びたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
クラウドPBXとは?オンプレミス型との違い、役割、注意点など解説
従来主流であったオンプレミス型PBXとの最大の違いは、先述の通り、PBXの機能がインターネットのサーバー上(クラウド)にあることです。つまり、PBX本体(主装置)を構内に設置する必要はありません。
電話機はPBXの機能をインターネット経由で利用できるため、IP電話回線が主に使用されています。
クラウドPBXの使い方は各社サービスによって異なりますが、基本的にはクラウド上で発行した設定情報をIP電話機本体(あるいはSIPアプリ)に適用のうえ、電話機をインターネットに接続すれば利用可能です。
したがって、固定電話やパソコンのみならず、スマホがビジネスフォンとして機能します。
さて、ここからはいよいよクラウドPBXのメリット、デメリットを紹介します。
まずは、メリットからです。
ビジネスフォンやオンプレミス型PBXを導入する場合、実機(ビジネスフォン数台、PBX)の購入や設置工事で、大概は数十万円以上の費用が発生します。
もちろん、リース契約やレンタルによる導入も可能ですが、結局は別途、工事費用が必要です。そのため、オンプレミス型PBXの初期投資は大きなコストになるといえます。
対してクラウドPBXの場合、繰り返しお伝えしている通り、まずPBX本体が必要ありません。
契約時に多少の初期費用こそ発生しますが、総額で比較すると、オンプレミス型PBXより如実に安価であることが分かります。この側面を知るだけでも、PBXに対する導入ハードルは下がるはずです。
*オンプレミス型の導入費用
PBX本体 & ビジネスフォンの購入費用 + 工事費用
*クラウドPBXの導入費用
サービス契約料 + IP電話機購入費用
なお、弊社サービス『クラコールPBX』の場合は、初期費用無料です。条件によっては業界最安でご利用いただけます。
いずれにせよ、オンプレミス型よりも導入費用を抑えられる点は、クラウドPBXの大きなメリットです。
クラウドPBXはこれまで述べてきた特徴や仕様により、デフォルトで拠点間内線が実現可能です。
距離のある事業所間でも内線化できれば、業務効率は飛躍的に上がります。
そう、転送料金が発生すること無く、A拠点で受けた電話をB拠点へ転送できるわけです。
通常仕様の外線転送の場合、その都度通話料金が発生しますが、拠点同士が内線接続されていればその費用は発生しなくなります。
従来のオンプレミス型PBXでは基本的に機器が設置されている1拠点内でしか内線が利用できません。高性能なIP-PBXやIPネットワーク構築であれば話は別ですが、これには複数拠点にPBXを設置するなど、手間とコストを多く費やす必要があります。
価格面だけではありません。
クラウドPBXでは、A拠点とB拠点で同じ外線番号を使用して発着信を行えます。
たとえば、A拠点を地方のコールセンター、B拠点を都内のオフィスとしましょう。
コールセンターで受けた電話を取り次いでオフィスの技術担当者に連絡する場合、発着信、転送までスムーズにつなぐことができます。
時は金なりです。お問い合わせには迅速な対応が求められます。
拠点間内線を容易に可能にするクラウドPBXは、コストを抑えるだけでなく、周囲や顧客への価値提供や貢献といったメリットまでもたらしてくれるのです。
オンプレミス型PBXの場合、電話機の増設や席替えには業者への設定依頼、場合によっては再配線工事が必要になります。
引っ越しに関しては移転先でも工事が必須です。導入時と同様に大きなコストが発生してしまいます。
加えて、オンプレミス型には本体に接続可能な電話機の台数に限界があるため、(電話機の)増設規模によっては主装置の入れ替えを行わなければなりません。
他方、クラウドPBXは再三述べているようにPBX本体を必要とせず、増設、オフィスの席替え、引っ越しに対してコストを抑えることができます。
増設の場合、以降の設定変更については管理ソフトが付与されているなど、サービス次第でセルフコントロール(自身での設定変更)も可能です。
また、既に設定済みの電話機を移動させたとしても、移動先でインターネットに接続すれば(移動前と)同じように使えます。
さらには、設定済みの電話機とインターネット環境があればすぐに利用できるため、移設・増設完了までに時間が掛かりません。
こうしたメリットを湛えているからか、特にスタートアップ企業などでは近年益々重用されてきている印象です。
そういうわけで、事業所のお引っ越しや一時的にでも拠点の開設が頻繁にある企業様であれば、クラウドPBXを強くおすすめします。
コストダウンは保守点検にも及びます。
オンプレミス型の場合、一般的に保守契約を結びますが、その理由は、導入するPBXが長期的に使用し続ける精密機器であり、いつ不具合や故障が発生するかわからないからです。
義務でないとはいえ、問題を未然に防ぐべく、定期的な点検や機材トラブル発生時のサポートなど、セキュリティ面の保障にはやはり欠かせないものといえます。
一方、クラウドPBXであれば、インターネット経由で提供されるサービスで実機を伴わないため、PBXのメンテナンスや点検に費用を掛ける必要はありません。
そして、メンテナンス、アップデートなどは自動で行われるため、常に最新のバージョンで利用することができます。
さらに、サービスによっては、保守費用が無料です。
このようにクラウドPBXは、運用コストにおいても優位性、メリットがあります。
ルーティングとは、代表番号の着信先で一定時間反応がなかった際などに、全ての電話機へ着信させる仕様のことです。クラウドPBXの場合、1拠点内はもちろん、複数拠点間に対しても内線転送のみで行えます。
仮に本社ですべての電話機が通話中になったとして、支店へ自動で転送しそちらで応答させることも可能です。
その他にも営業時間外に着信があった場合は、音声アナウンスへの転送や自動音声ガイダンス(IVR)への接続、操作内容ごとに各部署や担当者に転送するといったことまでできます。
これらは、確かにオンプレミス型PBXでも機種や環境によっては対応可能です。
では、スピードに目を向けましょう。
クラウドPBXはルーティングの設定をすぐに変更できます。この点は両者の決定的な違いです。
なお、変更方法はサービスによって多少なりとも異なります。といっても、管理ソフトや管理コンソール内で調整することがほとんどです。
03だけに限定されるものではありませんが、SIPアプリを用いることでスマートフォンでもクラウドPBXが利用できるようになります。
これによって、スマートフォンから(会社の)代表番号への発着信が可能です。
また、SIPアプリでは080や090などの携帯電話固有の番号と代表番号を同時に保有し扱えます。
社外にいる状況であっても社内にいる時と同じように電話業務を行えるため、外回り業務であっても携帯するスマートフォンで直接通話ができるのです。
代表番号をスマホで扱う方法自体は、クラウドPBXの利用に限りません。しかし、着信通話中も常に転送料金が発生することや、着信時に相手の電話番号が表示されない、発信はできない、通常の転送では1箇所にしか転送できない(同時に複数台着信できない)といった問題点を解消するには、やはりクラウドPBXが必要です。
とりわけBtoCのビジネスシーンでは、(代表番号などの)市外局番で折返し発信が行えないため、顧客が電話に出てくれないケースが見受けられます。
これは、080や090の見知らぬ番号に対して人は警戒心を強める傾向にあるからです。
クラウドPBXによって生まれる、会社の電話機をそのまま外に持ち出せる感覚は、どうしたってメリットといえるでしょう。
昨今浸透しているテレワーク、在宅ワークでは、電話業務の課題が挙げられます。
具体的には、「在宅の状況で会社にかかってくる電話にどのように応答するか」「離れた場所にいる従業員への電話取り次ぎをどのように行うか」などです。
通常の転送も一部着信であれば対応できるとはいえ、保留転送による取り次ぎ業務が行えないことはしばしばあります。
また、通話中は常に(転送通話)料金が発生する点も留意しましょう。気付けば月々高額の支払いを余儀なくされます。
そこで、解決に一役買うのがクラウドPBXです。
スマートフォンの他、SIP電話機、PCソフトフォンでもビジネスフォンと同じように扱えます。
既出のメリットの通り、スマートフォンは、アプリケーションのインストールで場所を問わず会社の電話番号で発着信可能です。
SIP電話機(SIPフォン)を自宅に持ち帰りインターネット接続するという方法もあります。
PCソフトフォンの場合、パソコンにインカムマイクなどの音声機器を接続すれば準備完了です。
クラウドPBXは何しろ電話機(もしくはアプリやソフト)への設定と、インターネット環境さえあれば事足ります。
スピーディーに対応できるため、急遽テレワーク体制へと移行することになっても、慌てる必要はないでしょう。
クラウドPBXは、たったの一つから数千に及ぶまで回線は幅広く利用できます(最小規模、最大規模はサービスやプランによって異なります)。
それゆえ、個人事業主も大規模コールセンターも、ニーズに合わせてバラエティに富んだ使い方が可能です。
従業員の増減が一時的であれ定期的であれ、臨機応変に使えます。
シチュエーションごとに調整が図りやすいため、最小限のコストで無駄なく運用できる点は、間違いなくメリットです。
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が個人で保有するプライベートのデバイス(スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど)を職場に持ち込んで業務に使用する仕組みのことです。
クラウドPBXを導入すれば、連絡体制がより強固になります。そのため、働き方改革と併せてこのBYODの導入を推進しやすくなるでしょう。
BYODとは?意味にメリット、端末管理やセキュリティ対策まで解説
日本は、地震、火山活動が活発な環太平洋変動帯に位置し、世界の0.25%という国土面積に対して、地震の発生回数や活火山の分布数の割合は極めて高いものとなっています。
参照元:内閣府ホームページ資料
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害時など業務に支障をきたし得る緊急事態が発生した際に、損害を抑えつつも重要業務を中断させずに続行するための計画を指します。
そして、その対策にはクラウドPBXの導入が効果的です。
災害によって交通機関の停止やオフィスの倒壊などで従業員が出社できない状況に陥った場合、クラウドPBXを導入していれば、内線化したスマートフォンを使い電話業務は行えます。
なお、内線化は外線、内線番号の発行、設定で、それまで対応していなかった従業員の分も新規追加が可能です。
また、災害時は大抵、電話アクセスが集中します。その際、緊急電話回線が優先され、一般電話回線は制限されるでしょう。そうなると、往々にして輻輳(電話回線のパンク状態)と呼ばれる状態が起こります。
お察しの通り、電話回線を使用しないクラウドPBXであれば通話はスムーズです。
いち早く従業員の安否確認を行える点は、何ものにも代え難いメリットだといえます。
BCP対策についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせて読んでみてください。
BCP対策とは?事例、マニュアルの紹介からクラウド導入のメリットまで解説
コールトラッキングとは、電話におけるアクセス解析です。広告やHP、サービスごとに分けた電話番号それぞれの着信や通話の内容をまとめて算出します。
主なデータや数値は、「いつ、だれが、どこに、何秒、何回電話したか」などです。その流入経路ごとにコンバージョンや指標を定め、測定します。
リスティング広告、ディスプレイ広告、記事広告、SNS、SEO、MAによるメール配信……等々オンラインのプロモーション施策の成果を、管理コンソールやツール上で詳細に蓄積できる点はクラウドPBXならではでしょう。
続いて、デメリットです。
懸念点に向き合うことこそ、導入を検討する際の肝といえるでしょう。
また、時に見方を変えれば、デメリットと思えた点が実はさして問題でなかったことも少なくありません。むしろ、メリットの要素さえ見えてくることもあります。
先入観に惑わされてしまっては、勿体ないです。新たな気付きを得るためにも、しっかりおさえておきましょう。
すなわち、デメリットも正しく知ることが大事です。
クラウドPBXでは、PBX本体の購入に代わり、機能の利用に対して永続的に月額基本料金が発生します。
ただし、この点はデメリットのみならずメリットの側面でも捉えられるでしょう。
なぜなら、利用規模に応じた基本料金のプランで導入すれば、無駄なくお得に使えるからです。
オンプレミス型PBXの場合も、リースかローンの契約形態はありますが、保守契約費用と月額固定費だけでなく、状況によっては再度工事費用が発生します。機器寿命と老朽化による定期的な購入も加われば、なかなかのコストです。
(オンプレミスかクラウドか)比較するスパン次第とはいえ、どちらか一択の頭になる前に、再度、両者の支出予測を行ってみてはいかがでしょうか。
既存の電話番号でクラウドPBXを利用する場合、主な方法として回線を移し替えるナンバーポータビリティ、あるいは既存回線のままクラウドPBXに接続させるゲートウェイが挙げられます。
これらに関して注意すべきは、利用サービスや既存の回線事業者によっては稀に引き継げないケースがあることです。
そのため、可否はあらかじめきちんと確認するようにしましょう。
逆にいえば、クラウドPBXを導入していないなかで、引っ越しなどに伴い電話番号を新規取得する機会があれば、切り替えるタイミングにもってこいだと考えます。
PBXの実機を必要としないことが強みである一方で、クラウドPBXは拠点内、構内における電話機以外の設備との連携が難点だといえます。
具体的には、ナースコール、構内放送、構内PHSなどです。これらは、オンプレミス型PBXの拡張機能であるため、連携の可否はご利用のサービスに依存します。
状況によって対処の仕方は異なりますが、一つは設備の差し替えなどが挙げられるでしょう。たとえば、「構内PHSを廃止してスマートフォンに切り替える」といった方法であれば、特に支障をきたすこともなく、本来(もしくはそれ以上)の機能や役割を満たして(果たして)くれるはずです。
クラウドPBXは、(インターネットを通じてサーバー上のPBXに接続し、IP電話回線で通話を実行する)サービスの特性上、通話の音質は、利用するインターネット回線の速度と安定性に影響を受けます。
具体的な推奨環境や最低限必要な接続速度は、サービスにより異なることを前提にお伝えすると、基本的に(通話に関して)1Mbpsが目安です。
現代のインターネット速度の平均水準(50Mbps~200Mbps程度)と比較しても非常に低い数値であるため、実際はさほど影響しないと思われますが、知識としてはおさえておきましょう。
接続速度以外にも安定性が大きな比重を占めるため、Wi-Fiや、格安simのスマートフォンなどを用いるならば、極力、事前のテストをおすすめします。
なお、弊社サービス『クラコールPBX』はアカウントを作成いただければ、内線のみですがすぐに無料で使えます。
お持ちの環境における音質テストにもお役立てできるでしょう。よろしければ、ぜひお試しください。
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