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スマホアプリ「Cloud Softphone」で会社の電話を使っていると、「相手の声が途切れ途切れになる」「話すタイミングがずれて、声がかぶってしまう」と感じることがあります。とくに、Wi-Fiのルーターから離れた部屋や、人が多いオフィスで起きやすい症状です。
こうした症状の多くは、スマホやアプリではなく、Wi-Fiの電波の弱さや混雑が原因です。このコラムでは、Wi-Fiで声が途切れる・遅れる理由と、まず試してほしいこと、会社や自宅のWi-Fiで見直したいポイントを、専門知識がなくても分かるように解説します。
まず試してほしい2つのこと
声が途切れる・遅れると感じたら、Wi-Fiの設定を見直す前に、次の2つを試してください。原因がWi-Fiにあるのかどうかを切り分けられます。
- Wi-Fiを切って、4G/5Gで通話してみるスマホのWi-Fiをオフにして、携帯電話会社のモバイルデータ通信(4G/5G)で同じように通話してみます。4G/5Gでは問題がなければ、原因はWi-Fiにあると考えられます。
- エコーコールでテスト通話をするエコーコール(03-6161-8686)にかけると、自分の声を録音して再生し、相手にどう聞こえているかを確かめられます。通話料のほかに料金はかからず、登録も不要です。
4G/5Gなら問題ない
- 原因はWi-Fiにあると考えられる
- このコラムのポイントでWi-Fiを見直す
Wi-Fiの環境を見直す
4G/5Gでも途切れる
- エコーコールでテスト通話をする
- それでも声がおかしいときは相談する
クラコールにご相談ください
クラコールPBXのスマホアプリの設定マニュアルでも、安定した通話のために、携帯電話会社の4G/5Gの利用をおすすめしています。Wi-Fiで通話するときは、このあとのポイントを確認してください。
Wi-Fiで声が途切れる・遅れる理由
電話の声は「少しずつ、休みなく」届く必要がある
インターネットで通話するときは、声を細かく区切って、1秒間に数十回、小さなデータとして送り続けています。通話1本で使うデータ量は、上り・下りそれぞれおよそ0.1Mbps(100kbps)です。動画を見るより、ずっと少ない量です。
量は少なくても、声のデータは「決まった間隔で、遅れずに」届かなければなりません。データが届かないと、声が途切れ途切れに聞こえます。届くのが遅れると、アプリは遅れたデータを待ってから再生するため、声が遅れて聞こえます。
そのため、速度測定で「100Mbps出ている」Wi-Fiでも、通話が途切れることがあります。通話に大切なのは速さよりも、データが安定して届くことです。
理由1 ルーターから離れると電波が弱くなる
Wi-Fiの電波は、ルーターから離れるほど弱くなります。壁や床、ドア、金属の棚、水の入った水槽なども電波を弱めます。電波が弱くなると、Wi-Fiは通信速度を落とし、届かなかったデータを送り直すようになります。この送り直しが重なると、声のデータが間に合わなくなります。
「ルーターのある部屋では問題ないのに、奥の会議室や別の階に行くと途切れる」という場合は、この理由が考えられます。
1台のWi-Fiルーター(アクセスポイント)につながっている機器は、同じ電波を順番に使っています。ある瞬間に電波を使えるのは1台だけで、ほかの機器はその間、順番を待ちます。
近くの機器だけのとき
通話のデータに、すぐ順番が回ってくる
遠くて電波の弱い機器がまじると
遠くの機器が長く電波を使うため、通話のデータは順番待ちで遅れる
つないでいる機器が多いほど、順番待ちは長くなります。さらに、ルーターから遠くて電波の弱い機器は、同じ量のデータを送るのに長い時間がかかるため、ほかの機器の順番まで遅らせてしまいます。Web会議や大きなファイルのアップロードをしている人が近くにいると、通話が途切れやすくなるのもこのためです。
この順番待ちを大きく減らせるのが、「Wi-Fi 6」(規格名は11ax)以降のルーターやアクセスポイントです。Wi-Fi 5(11ac)までは、1回の送信で1台分のデータしか運べませんでしたが、Wi-Fi 6には、1回の送信を細かく分けて、複数の機器へ同時に割り当てる「OFDMA」という仕組みがあります。
- 通話のデータが、順番を待たずに送れる 通話のデータは小さな粒を休みなく送るものです。従来は小さなデータでも1台ぶんの順番を使っていましたが、Wi-Fi 6なら、ほかの機器のデータと同じ1回の送信に相乗りできます。
- 上りも下りも、複数台が同時にやり取りできる 「MU-MIMO」という同時通信の仕組みも、Wi-Fi 6では上り(スマホから送る向き)と下り(スマホが受ける向き)の両方に使えます。
- 近くのWi-Fiとの電波のぶつかりを減らせる となりのアクセスポイントの電波と区別しやすくなり、混み合ったオフィスでも待ちが起きにくくなります。
社員が多いオフィスや、1台のWi-Fiに多くの機器をつないでいる場所では、ルーターやアクセスポイントを買い替えるときに、Wi-Fi 6以降(Wi-Fi 6E、Wi-Fi 7も含む)を選ぶことをおすすめします。
ただし、効果が出るのは、ルーターと、つなぐスマホやパソコンの両方がWi-Fi 6以降に対応しているときです。スマホの仕様(Wi-Fi 6または802.11ax対応と書かれているか)を確認してください。また、電波が弱い場所や、乗り換えがうまくいかない問題はWi-Fi 6にしても解決しないため、置き場所やアクセスポイントの数の見直しも合わせて行ってください。
理由3 スマホが近くのWi-Fiに乗り換えてくれない
Wi-Fiのアクセスポイントを何台か置いていても、スマホがいつも一番近いアクセスポイントにつながるとは限りません。スマホは、今つながっているアクセスポイントの電波がかなり弱くなるまで、つながったままでいようとします。
たとえばiPhoneは、電波の強さが-70dBm(dBmは電波の強さの単位で、0に近いほど強い)を下回るまで、今のアクセスポイントにつながったままでいます。このあとで説明するとおり、通話には-65dBmくらいの強さが欲しいため、乗り換える前に声が途切れ始めることがあります。
アクセスポイントの間が離れている
- スマホを持って、ルーターのある部屋から移動する
- 近くの別のアクセスポイントに乗り換えず、遠いほうにつながったまま
- 電波が弱くなってから、ようやく乗り換える
移動中に声が途切れる
電波の届く範囲が重なっている
- スマホを持って、ルーターのある部屋から移動する
- どこにいても、どれかのアクセスポイントから強い電波が届く
- 電波が弱くなる前に、近いほうへ乗り換えられる
移動しても声が途切れにくい
理由4 スマホがWi-Fiとモバイルデータを切り替える
最近のスマホには、Wi-Fiの電波が弱いときに、自動でモバイルデータ通信(4G/5G)を使う機能があります。便利な機能ですが、通話中に通信の経路が切り替わると、その瞬間に声が途切れたり、通話が切れたりすることがあります。
電波の弱い場所で通話することが分かっているときは、通話を始める前にWi-Fiをオフにして、4G/5Gで通話するのが確実です。
電波の強さと通信の安定を確かめる
いちばん手軽なのは、通話する場所でエコーコールにかけてみることです。ルーターのある部屋から少しずつ離れながら試すと、どこから声が途切れ始めるかが分かります。スマホ画面のWi-Fiのマーク(扇形)が1〜2本しか立っていない場所は、電波が弱いと考えてください。
電波の強さを数字で確かめたいときは、次の図を目安にしてください。
(シグナル70%以上)安定して通話しやすい
(シグナル60〜70%)途切れ・遅れが出始める
(シグナル60%未満)途切れ・遅れが起きやすい
- Windowsのパソコン コマンドプロンプトで「netsh wlan show interfaces」と入力すると、「シグナル」に電波の強さが%で表示されます。パソコンを通話する場所に持っていけば、その場所の電波の強さが分かります。
- iPhone Apple の無料アプリ「AirMac ユーティリティ」をインストールし、iPhoneの「設定」でこのアプリの「Wi-Fi スキャナ」をオンにすると、アプリの「Wi-Fi スキャン」で電波の強さ(RSSI)をdBmで確かめられます。
あわせて、インターネットの速度測定サイトで、通信の安定も確かめておくと安心です。通話に必要な速度は1本あたり約0.1Mbpsなので、上り・下りとも数Mbps以上出ていれば、速度は十分です。それよりも、次の2つの値を見てください。ジッターやパケットロスまで表示してくれる速度測定サイトもあります。
- ジッター(遅れのばらつき) 30ミリ秒以下が一般的な目安です。大きいほど、声が遅れたり途切れたりしやすくなります。
- パケットロス(届かなかったデータの割合) 1%以下が一般的な目安です。データが届かないと、その分の声が抜けます。
Wi-Fi環境で見直したい7つのポイント
1.ルーターの置き場所を見直す
ルーターは、床に直接置いたり、棚の中や机の下に隠したりすると、電波が届きにくくなります。次のような置き方をすると、電波が部屋全体に届きやすくなります。
2.通話する場所とWi-Fiの距離を近づける
よく通話する席や部屋が、ルーターから遠く離れていないかを確認します。ルーターと同じ部屋か、壁1枚くらいまでの場所が理想です。別の階や、いくつもの壁を隔てた部屋でよく通話する場合は、その近くにアクセスポイントを増やすことを考えてください。
3.Wi-Fiを増やすなら「LANケーブルでつなぐメッシュWi-Fi」
Wi-Fiの届く範囲を広げる方法には、「中継機」と「メッシュWi-Fi」があります。通話に向いているのは、親機と子機(サテライト)をLANケーブルでつなぐメッシュWi-Fiです。
中継機や、子機を無線でつなぐメッシュWi-Fiは、ルーターとの通信にも同じWi-Fiの電波を使います。そのため、手元の機器が通信に使える時間が短くなります。さらに、中継を重ねるほど速度が下がり、遅れも大きくなります。LANケーブルでつなげば、こうした影響を受けません。
中継機・無線でつなぐメッシュ
- ルーターと中継機の間も、Wi-Fiの電波でやり取りする
- 同じ電波を、中継とスマホで分け合う
- 中継をはさむたびに、速度が落ちて遅れが増える
通話が途切れ・遅れやすい
LANケーブルでつなぐメッシュ
- ルーターと子機の間は、LANケーブルでやり取りする
- Wi-Fiの電波は、スマホなどの機器のためだけに使える
- どの子機の近くでも、同じように安定しやすい
通話が安定しやすい
メッシュWi-Fiは、どの子機も同じWi-Fiの名前(SSID)で使えるので、スマホが近くの子機に乗り換えやすくなります。子機は、電波の届く範囲が少し重なるように置いてください。
4.Wi-Fiの名前をそろえ、ルーターを二重にしない
インターネット回線の機器(ホームゲートウェイなど)にもWi-Fiがあり、さらに別のWi-Fiルーターをつないでいると、名前の違うWi-Fiが2つできてしまいます。スマホはその間をうまく乗り換えられず、遠いほうにつながったままになりがちです。
この場合は、どちらか一方のWi-Fiだけを使うようにします。回線の機器にルーターの機能があるときは、あとからつないだWi-Fiルーターを「アクセスポイントモード」(ブリッジモード)にするのが一般的です。設定方法は、お使いの機器の説明書をご確認ください。
Wi-Fiの名前が2つある
- 回線の機器のWi-Fi「A」と、Wi-Fiルーターの「B」がある
- スマホはAとBの間をうまく乗り換えられない
- 遠いほうにつながったままになる
移動すると途切れやすい
Wi-Fiの名前を1つにする
- Wi-Fiルーターをアクセスポイントモードにする
- 回線の機器のWi-Fiは使わない
- スマホは1つのWi-Fiの中で乗り換えられる
移動しても途切れにくい
5.1台のWi-Fiに機器をつなぎすぎない
Wi-Fiルーターには、メーカーが目安として示す「推奨接続台数」があります。スマホやパソコンのほか、プリンター、テレビ、防犯カメラなども1台に数えます。数えてみると、思った以上に多いこともあります。
業務用のWi-Fiでも、データ通信と一緒に使う場合、1台のアクセスポイントで同時に通話できるのは7〜9本くらいが目安とされています。社員が多いオフィスでは、アクセスポイントを増やして、つなぐ機器を分散させてください。Web会議や大きなファイルのやり取りが多い時間帯に途切れる場合も、同じ対策が効きます。
6.スマホは5GHzのWi-Fiにつなぐ
多くのWi-Fiルーターは、2.4GHzと5GHzの2種類の電波を出しています(Wi-Fiの名前の末尾に「-g」「-a」や「2G」「5G」などが付いて分かれていることがあります)。
2.4GHz
- 遠くまで届きやすい
- 電子レンジやBluetooth機器と同じ電波
- 混み合いやすく、ほかの機器の影響を受けやすい
通話には不安定なことも
5GHz
- ほかの機器の影響を受けにくい
- 壁や床を通り抜ける力は弱め
- アクセスポイントの近くで使う
通話におすすめ
通話に使うスマホは、5GHzのWi-Fiにつなぐのがおすすめです。5GHzで電波が弱い場所なら、2.4GHzに切り替えるより、アクセスポイントを近くに増やすほうが確実です。
7.ルーターの設定と古さを確認する
- ルーターを再起動し、ファームウェアを最新にする 長く動かし続けたルーターは、再起動するだけで安定することがあります。ファームウェア(ルーターのソフトウェア)は最新にしておきます。
- 「SIP ALG」をオフにする ルーターによっては、インターネット電話の通信を書き換える「SIP ALG」という機能がオンになっています。相手の声だけが聞こえない、着信しないといった症状の原因になることがあるため、オフにできる場合はオフにします。
- 「WMM」をオンのままにする WMMは、Wi-Fi通信内で音声などのデータを優先的に処理する機能です。通常は最初から有効(オン)になっているため、そのままお使いください。
- 古いルーターは買い替えも検討する 何年も前のルーターは、つなげる台数や混雑への強さで、新しい機種に劣ることがあります。ほかの対策をしても改善しない場合は、買い替えも検討してください。買い替えるときは、Wi-Fi 6以降の機種がおすすめです(理由2で説明した、順番待ちを減らす仕組みがあります)。
社内のWi-Fiを管理している方へ(目安の数値)
Wi-Fiの管理者・設置業者の方向け
業務用の無線LAN機器メーカーが示している、音声通話向けのWi-Fi設計の主な目安です。Wi-Fiの設計や見直しを業者に依頼するときは、「通話用のスマホを使う」と伝えたうえで、次の値を参考にしてください。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 電波の強さ(通話するすべての場所) | -65〜-67dBm以上。乗り換え先として、2台目のアクセスポイントからも-67dBm程度が届くこと |
| 信号と雑音の差(SNR) | 25dB以上 |
| チャネルの使用率 | 50%未満 |
| 同時通話数(データ通信と併用) | アクセスポイント1台・1つの電波あたり7〜9本程度 |
| 周波数 | 通話用のスマホは5GHz |
5GHz帯のうち、W53(52〜64チャネル)とW56(100〜144チャネル)は、気象レーダーなどの電波を検知した場合、他のチャネルへ変更することが法令で義務づけられています(DFS)。この切り替えの間、通信が1分以上停止することがあります。通話の多い場所では、DFSの対象外であるW52(36〜48チャネル)に固定することも検討してください。
Wi-Fiが難しい場所では、4G/5Gや有線の電話機も
建物の構造などで、どうしてもWi-Fiの電波が届きにくい場所もあります。そのような場所では、無理にWi-Fiを使わず、次の方法も検討してください。
- スマホは4G/5Gで通話する Wi-Fiをオフにして、携帯電話会社のモバイルデータ通信で通話します。外出先やWi-Fiの届きにくい場所では、こちらのほうが安定することが多くあります。
- 席で使うなら、LANケーブルでつなぐSIP電話機 決まった席で電話を受けることが多い方は、無線を使わないSIP電話機を使うと、より安定した音声で通話できます。
まとめ まずは4G/5Gとエコーコールで切り分けを
スマホの内線で声が途切れる・遅れるときは、まずWi-Fiを切って4G/5Gで試し、エコーコールでテスト通話をして、原因がWi-Fiにあるかを確かめてください。Wi-Fiが原因のときは、ルーターの置き場所と距離、LANケーブルでつなぐメッシュWi-Fi、つなぐ機器の数、5GHzの利用を見直すと、改善することが多くあります。
それでも改善しない場合や、オフィスの電話環境を見直したい場合は、お気軽にご相談ください。


